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中小企業・非公開会社において逆基準性が果たす機能と確定決算基準の継続に関する研究


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タイトル: 中小企業・非公開会社において逆基準性が果たす機能と確定決算基準の継続に関する研究
著者: 井上, 隆
著者(別表記) : Inoue, Takashi
発行日: 2009年 9月18日
引用: Nagasaki University (長崎大学) (2009-09-18)
抄録: 平成21年2月に国税庁長官官房企画課より公表された,『平成19年度分税務統計から見た法人企業の実態-会社標本調査結果報告-』によると,わが国の平成19年度分の法人数は,259万4,214社存在する。そのうち連結親法人は685社,連結子法人は,6,130社存在する。一方,資本金1,000万円未満の階級(56.0%)と資本金1,000万円以上1億円未満の階級(42.4%)が,実に,全体の98.5%を占めていることから,わが国においても諸外国と同様,企業規模の二元化が著しいことが理解できる。更に,会計基準のグローバリゼーションを背景とした国際会計基準・国際財務報告基準(以下,IAS/IFRS)とわが国の会計基準との収斂作業は,最終的には,改正連結財務諸表原則に代表される様々な大企業・公開会社向けの「新会計基準」の公表とその実務上の対応として,中小企業・非公開会社向けの「中小企業の会計に関する指針(以下,指針)」の公表という企業規模に基づく会計基準の二元化問題が生じている。企業規模に基づく会計基準の二元化問題は,他国においてもIAS/IFRSと各国国内会計基準との収斂(あるいは採用)の際に生じる派生的な問題であるが,本論文は,わが国の制度会計と確定決算基準の特質に関する考察をおこなうことで,その解決アプローチを試みるものである。序章では,まず,中小企業・非公開会社向けの計算規定に主眼を置き,国内の会計基準とIAS/IFRSとの収斂(あるいは採用)に際して生じる国内・国外の会計基準の二元化問題および国内における企業規模に基づく会計基準の二元化問題に関する考察をおこなっている。これらの考察を通じ,わが国の制度会計の特徴である,「公正処理基準」と「逆基準性(税務基準)」の組合せにより初めて可能となる,わが国固有の「間接型逆基準性アプローチ」により,国内・国外の会計基準の二元化問題および国内における企業規模に基づく会計基準の二元化問題を解決できる可能性について言及している。更に,「間接型逆基準性アプローチ」の特徴である「逆基準性」が果たす機能を明確にすることが本論文の目的であることを述べている。  第1章では,わが国の制度会計に関する考察をおこなっている。具体的には,わが国の制度会計の特徴である会社法・法人税法等に規定される「公正処理基準」および従来から批判のある「逆基準性」について考察している。わが国の会計制度は,まず,基底に企業会計があり,企業会計を基礎として会社法会計があり,更にその上に法人税会計が存在するという意味での「会計の三層構造」をなしていると考えられる。上記の「公正処理基準」とは,①法人税法と会社法間,②法人税法と会計基準(指針)間,更には,③会社法・会社計算規則と会計基準(指針)間での計算規定に関する委任関係と説明することができる。もう一方の「逆基準性」とは,法人税法等の計算規定が,企業利益から課税所得を算出する際の強制規定である為,法人税法等の規定に基づく会計処理が企業会計の指針となる現象(いわゆる,決算基準の逆転現象)を指している。「逆基準性」は,従来からその弊害を主張する様々な批判が存在しており,それらは大きく,①IAS/IFRSと新会計基準との収斂(採用)に基づく確定決算基準廃止論,②逆基準性の弊害に基づく確定決算基準廃止論に区分することができることから,各廃止論の主張内容に合理性が存在するか否かについて考察している。第2章では,様々な新会計基準の公表がわが国の制度会計全般に及ぼした影響の考察をおこなっている。具体的には,IAS/IFRSやわが国の従来の会計基準それぞれの基本的特徴をふまえて,IAS/IFRSの影響に基づくさまざまな新会計基準の導入が,従来の会計基準ならびに商法,証券取引法,法人税法の各法規に及ぼした影響について考察している。特に,大企業・公開会社向けの新会計基準の導入に際し,その実務上の対応として,逆基準性を特徴とする中小企業・非公開会社向けの指針が公表されるに至った経緯を詳細に検討している。その結果,わが国の制度会計において,企業規模に基づく会計基準の二元化が生じている現状を明らかにすると同時に,わが国固有の「間接型逆基準性アプローチ」が果たす機能を明らかにすることにより,①IAS/IFRSと新会計基準との収斂(採用)に基づく確定決算基準廃止論,②逆基準性の弊害に基づく確定決算基準廃止論に対する反論を試みている。第3章では,IAS/IFRSが各国等の中小企業の会計制度に及ぼした影響について考察している。具体的には,①ドイツ,②イギリス,および③IASBにおける企業規模に基づく会計基準の二元化対応に関する考察をおこなっている。まず,わが国と同様,確定決算基準を採用しているドイツにおいてとられた現実的な対応に着目している。ドイツの現実的対応とは,大企業・公開会社に限定した会計基準の国際化を推進する一方で,ドイツ国内の中小企業・非公開会社向けには,税法内に直接,逆基準性を規定したアプローチのことである。本論文ではこのアプローチを「直接型逆基準性アプローチ」と定義し,わが国の「間接型逆基準性アプローチ」との対比を試みている。次に,イギリスにおいてIAS/IFRSの国内導入に際して生じる,企業規模に基づく会計基準の二元化問題に対処する為,世界に先駆けて公表した中小企業向け会計基準である「FRSSE」を開発するに至った経緯とその特徴について考察している。更に,IASBが公表した「中小企業向け国際財務報告基準(IFRS for SMEs)草案」の公表に至る経緯とその特徴についても考察している。その結果,イギリスおよびIASBのIAS/IFRSの国内導入に際し生じる,企業規模に基づく会計基準の二元化問題へのアプローチは,申告調整を前提としたアプローチであることを明らかにしている。終章では,わが国の指針が公表された経緯は,外形的にはイギリスのアプローチと共通性を有するものの,企業規模に基づく公正処理基準の二元化を認容する会社法の施行が,結果的には,わが国がイギリスに先行した経緯について明らかにしている。更に,指針の特徴は,ドイツと同様,「逆基準性」の採用に認められるのであるが,ドイツでは,2010年に施行予定の「商法会計法現代化法(案)」には,逆基準性の廃止が盛り込まれており,その対応策として,わが国同様,企業規模により「商事貸借対照表」と「税務貸借対照表」の分離が検討されている現状についても明らかにしている。その結果,わが国の場合,IAS/IFRSの国内導入に際し生じる,企業規模に基づく会計基準の二元化問題については,各法規に定めのある「公正処理基準」と「逆基準性」の組合せに基づく「間接型逆基準性アプローチ」を採用した混合型の確定決算基準によりその解決が図れることを論証している。
記述: 長崎大学学位論文 学位記番号:博(経)甲第6号 学位授与年月日:平成21年9月18日
URI: http://hdl.handle.net/10069/22195
資料タイプ: Thesis or Dissertation
原稿種類: author
出現コレクション:020 学位論文

引用URI : http://hdl.handle.net/10069/22195

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